日記3/3
日記3/3
天上を見ながら聴く音楽に踊るという表現はないのさ。
そうやって否定すればするほど、音楽は近づいてきた。
心はもう死にたい死にたいと、感情を消失させていた。
体はまだ生きたい生きたいと、心臓を鼓動させていた。
部屋には、音楽と鼓動だけがあった。
いつから自由のためのビートが必要になったのだろう。
私たちはチャイムで駆け出して席に着くことができた。
あのスーパーマーケットの屋上に行った。
クレーンゲームのぬいぐるみが夢を見た。
海へ向かう道で泣いている人を見た。
悲しくも嬉しくもなかったのだろう。
それでいて感情は鼓動に訴えかけていた。
羨ましかった。生きたいと願えるお前が。
許せなかった。生きたいと思えるお前が。
そんなお前に打ち明けることはなかった。
ただ鼓動を感じていた。
そこには音楽があった。
朝方、海を見ていると、灰色の雲が町から海に流れて行った。
私は、水平線へ向かう変わり果てた姿を最後まで眺めていた。
あのスーパーマーケットで買ったトマトジュースを飲んだ。
今日は夜、初対面の人と急に、会って話すことになった。
手が滑って、シェーバーで切った唇に血が付いていた。
いつもだからでもなく、海ではマスクを外していた。
今も昔も、私の生活はあまり変わっていない。
コーヒーを飲み音楽を聴き続けることだけだ。
飲み物は、ほんの少しだけアルコールに変わったのだが…
そうこうしているうちに出発の時間が近づいてきた。
(LINE)「昨日体調大丈夫だった?」
?
…
…..まさか!
(LINE)「ごめんーーー日付間違えてたーーー!」
(LINE)「心配してくれてありがとう。体調は大丈夫。」
(LINE)「昨日のネタ作り、うまくいった?」
2023年2月22日、水曜日。
ネコと音符のシャツを誰かに見せることはなかった。
にゃんにゃん。
日記3/3 終わり (残り0/3)