来栖りん 全写真集感想 (書籍,デジタル)

 来栖りんさんについては以下の公式サイト、公式SNSWikipedia等を参照してください。

kurusurin.jp

www.instagram.com

 

 

 長らく絶版状態にあり、現在もプレ値が付けられている来栖りんさんの1st写真集『16歳のコアクマ』がKindle版としても読めるようになっていたことを確認しました。

 今回はその写真集を読み、これまで来栖りんさんが出版した全ての写真集の感想を書きました。

 

---写真集感想---

 

・16歳のコアクマ(2017年7月28日) [天使かよ!,撮影:NEW163]

https://amzn.asia/d/b01dU5j

2016年9月23日に結成されたアイドルグループ、26時のマスカレイドに所属し芸能活動を始めてから1年未満で撮影、出版された来栖りんさんの記念すべき1st写真集。

(64p,3565円(デジタル:990円))

 

 初々しい学園生活、僕はこれ以上何を望めばいいでしょうか。素晴らしい1st写真集です。これが1stであるべきと思う以外でまとめることのできる感想なんてありえません。半分以上のページが学校のシーンです。残りは制服から着替えてデート。あなたは自分にとって理想の一日を想像することができますか?僕の理想は、どこへ出かけるにも、何を買うにも、誰と過ごすにも当てはまることがありません。それはただこの写真集をじっと眺めていればそれで良いと思える感情こそが理想だからです。この写真集は、学校のシーンで、街のシーンで、何か特殊な可愛げを発見させられるわけでも、豪華な衣装で美しさにうっとりさせられるわけでもありません。りんちゃんがそこにいてくれたらいいなと思わせるためのページしかありません。こういった写真集を見ていると、たとえりんちゃんへどんなにくだらない妄想が起ころうが、きみの存在をただ一方的に肯定している気持ちで胸がいっぱいになります。ある被写体に対してここまで好きという気持ちを抱かせてくれたのはあなたが初めてかもしれません。僕はあなたが隣にいてくれる理想の一日を想像することができません。しかし、あなたがいてほしい場所は想像できます。だからあなたを感じる写真だけがここに存在し、あなただけがここにいないのです。寂しいときにいつもあなたを感じさせてくれてありがとうございます。りんちゃんのはじめてを知りたい方におすすめです。kindleunlimitedにもあります。ぜひ。

新しい場所にはもう慣れたよ

いつもの調子でやっているよ

友達もたくさんできて

ただ君がいないだけ

 

新しい場所にはもう慣れたの?

こっちはずいぶん暑くなって

海にも行こうと思うよ

ただ君がいないだけ

 

おやすみ / sora tob sakana (2016) [sora tob sakana] 作詞:照井順政

 

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・キミの制服 (2019年2月7日) [集英社,撮影:細居幸次郎] デジタル限定

https://amzn.asia/d/fOx5s0W

2018年10月18日に週刊ヤングジャンプ制コレ'18』でグランプリを獲得後、リリースされた来栖りんさんにとって初めてのデジタル写真集。ヤングジャンプ本誌のアナザーカット集。

(43p,550円)

 

 雪の中の3シーンと室内の5シーンが相互に、わりかし突然と切り替わる形の全体構成で、えっ!と驚きのリアクションを取らせようというような意図を感じました。良い。冒頭の雪のシーン(1)が表紙と同じスタイリングで、しっかり服を着ていて、スカートの下にも厚めのレギンスで寒さ対策がされていて好き。僕は一面雪景色に立つ水着の女性のグラビアが全く趣味ではないので主題でそうならなくて良かった。(そのようなカットは最後に少しだけ登場します)屋外の雪!白!に対して室内では全体的に淡い感じの色味がとても好みでした。制服やバスタオルは彼女のカラーである青に近く、三つ編みお下げでスクール水着はまるで子猫のような可愛さでした。童顔で華奢な体型なので丸くなっていると特にそう思います。図書館のシーンで恩田陸の小説を手にとっているのは、実際のりんちゃんが愛読しているからなのか、あくまでもただのイメージで青い表紙を採用したのか、ともかく意図があるのかはわかりませんが、川端康成の『雪国』でも良さそうだなと思いました。僕の本棚にある青緑カバーの雪国を思い出したりしました。雪のシーン(2)は温泉で、制服と水着の2パターンの写真がある中でも、僕は制服で掃除用のブラシを握りしめて石の上に立てるカットが最もお気に入りです。膝くらいまではお湯に浸かっていてその良さというか、ここはあまり上手く言語化できないです。ベッドと和室で2パターンの下着を着用されており、笑顔がないところがこのシーンの大きな特徴かと思われます。続いての、分厚い冬ニットを着こなしながらベッドで涙目になるりんちゃんがあまりにも可愛すぎるのでぜひ見ていただきたいです。右隣の上下分割うつ伏せページと合わせて『キミの制服』はこのシーンをベストとさせてください。そして最後の雪のシーン(3)は雪景色に白下着に白ストールに白ニットキャップと白尽くしです。僕の個人的な好みでこの感じの良さはまだあまり理解できていないです。でも笑っていて可愛いからOKみたいなところはある。当然ですね。僕は結局、図書室でメガネの可愛い女の子と偶然目が合ってしまいましたみたいな、本好きには定番すぎるカットがもちろん大好きなので、後ろにぼやけて映る何かの全集を読めないくせにパラパラとめくるふりして一瞬の後ろ姿だけでも眺めてみたかった人生です。

 

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・トクベツな君 (2019年7月4日) [集英社 ,撮影:細居幸次郎] デジタル限定

https://amzn.asia/d/66vZ7wE

前作に続いてヤングジャンプ本誌に掲載後、アナザーカット集としてリリースされたデジタル写真集。

(42p,550円)

 

 制服の細長いリボン、船上での麦わら帽子、体操服でメガホンなどのポイントを掴みつつ、全体的な雰囲気や構成はやや散漫な印象でした。しかし、木陰でアンニュイな表情を見せるりんちゃんと水着の上から謎の服を着て釣りをするりんちゃんがとてつもなく可愛い前半から見応え十分です。『トクベツな君』のベストカットとしてご紹介したいのは、赤の体操服で黄色いメガホンを口に当てながら何かを叫ぼうとするりんちゃんを真正面から捉えたページです。短めでゆるく結いたツインテールが好きです。このシーンではロングパンツとブルマタイプの2パターンのスタイリングがあります。長い方は裾を折ったり、短い方は足が全開になっていたりと、僕が見たいものを見透かされている感じでした。プールのシーンで笑顔を挟みつつ、続いてはオーガニックな雰囲気の部屋のベッドでグレーの下着を着用されているりんちゃんの、自然体を演じた表情があまりにも刺さりすぎました。このシーンは6pですが、作品の満足度として大きく貢献してくれた気がします。何の変哲もない道や駐車場、団地っぽい階段のシーンがラストにあるところも好きです。乃木坂46「扇風機」のMVを見ている時のような感情と言いましょうか。それでも、薄いノースリーブと短いデニムスカートとビーサンで涼しげがあります。やっぱり、この時期のりんちゃんの良さは圧倒的な爽やかさにあると思いました。うだる夏の夜、僕は何度りんちゃんがそばにいてくれたら爽やかな気持ちになるのだろうと思ったことでしょうか。この文章を書いている今が冬だとしても、僕の心はりんちゃんを見ているときに夏へと連れて行かれてしまうのでしょうか。

 

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・Lakka (2019年11月14日) [集英社, 撮影:細居幸次郎]

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週刊ヤングジャンプ制コレ'18』の集大成として出版された来栖りんさんのメジャー1st写真集。撮影はフィンランド。絵日記の収録やポストカードなど特典あり。

(132p,2750円)

 

 来栖りんを感じたい。そんな方にまずおすすめしたい写真集が『Lakka』です。書籍情報を読んでわかるようにこれまでのりんちゃんの"集大成"が収められています。題名にもなっているLakkaとはベリー大国フィンランドのリキュールであり、クラウドベリーというバラ科の果実です。さて、フィンランドといえば真っ先に思い浮かべる僕が大好きなジャズドラマー"エドワード・ヴェサラ"の出身地です。彼のいくつかの傑作を生み出した音楽レーベル"ECM"のコンセプト「沈黙の次に美しい音」という言葉を借りるのならば、来栖りんには「愛の次に可愛い存在」とでも言いたくなるほどです。彼の日本での知名度はそこまで高くありませんし、リキュールのLakkaにしてもそうでしょう。沈まぬ太陽、明るい夜、そんな白夜を生み出すフィンランドの地に降り立ったりんちゃんが見せてくれる長く淡い光の数々.....僕はここ日本の深い夜、身体をあたためる少しのアルコールと共に、長い間、本のページをめくることすら忘れていたように思う静けさがりんちゃんの美しさを際立たせます。鹿肉、古都、サウナ、教会、島々...りんちゃんの旅の日記は短い文字が素晴らしかった。スケッチの上手さにも感動。花柄のワンピースからは、遠くフィンランドの自然と戯れているりんちゃんの香りが漂ってくるようでした。深呼吸をして目を閉じればまぶたの裏で微かに感じる光、今あなたはどんな街を思い浮かべているのだろうか。

 

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・だから、もう一度君に恋をする! (2021年6月24日) [集英社,撮影:細居幸次郎] デジタル限定

https://amzn.asia/d/5IxVwZy

約1年半ぶりにジャングジャンプに掲載された来栖りんさんのアザーカット集。復帰作。

(45p,550円)

 

 久しぶりのデジタル写真集ということで急激に大人っぽくなったりんちゃんを見ることができます。風景が表情のムーディーさについていけていないと思うほどでした。かなりセクシーに思える衣装やポーズがあります。ほんのりとグレーがかった髪色(光によってはブラウン)が好き。ストライプのロングシャツ、シースルーの白いドレスなど、『だから、もう一度君に恋をする!』では、その綺麗さに魅了される場面も増え、りんちゃんの魅力をより多くの角度から知ることができるでしょう。大きめの枕を抱えて一糸纏わぬ姿なのではないかと思わせるようなカットが今作のフェイバリットです。面積の小さいセクシーな衣装を見せつけるよりも僕は"こういう"やり方が好みというわけです。ご想像にお任せします。なんて素晴らしい言葉でしょうか。とはいえ最も肌の露出がありセクシーさを押し出されているデジタル写真集はこちらで間違いないと思いますので、お求めの方は参考にしてください。このあたりの段階でビジュアル面での完成度が(もちろん僕の好みに対するハナシですが)凄まじいことになっていまして、正直、お顔を眺めているだけで幸せな気持ちになれます。本当に可愛いです。好き!的な勢いに、ため息が出るような深い幸福感が加わってしまいました。"可愛い"を感じて"苦しい"に接続される理由をわかってもらえるように説明すれば、それはため息の次の段階というわけです。

 

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・りんとして。(2022年9月30日) [KADOKAWA

https://amzn.asia/d/dcKIOGh

グラビアザテレビジョンでの連載『RINGING!』から誕生した、来栖りんさんにとって初めてのフォトブック。

(128p,2420円)

 

 まず初めに、アイドルの"フォトブック"が"写真集"よりも低評価の傾向にある事実は受け入れ難いですが(ここで、そんなことはない!と思わず叫びたがるオタクとは美味い酒が飲めそうです。という話を今ここでこれ以上するつもりもないですが)、26時のマスカレイド解散直前に出版された、彼女のこれまでをインタビューや100の質問形式のテキストで振り返り、親友の峰島こまきさん(ナナランド)とのコラボや雑誌連載の総まとめに加えて、りんちゃんが着たいと思ったドレスややりたかったコスプレまで、もちろん他の撮り下ろし写真も含めて、りんちゃんの魅力が広い視野で伝わる素晴らしい一冊だと思います。アイドルの卒業を見届けたことのあるオタクには高確率で共感してくださると信じていることに、卒業の日が決まっているアイドルに特有のきらめきを見てしまうという感情があります。2023年、来栖りんさんは夢を叶える形で声優として再スタートされました。音楽活動も順調なリリースと言えるでしょう。これからも来栖りんさんの素晴らしい活躍を願い、その姿を少しでも見ることができたら僕にとっての今の来栖りんさんという存在にそれ以上の幸せを感じることはありません。「グラビアザテレビジョン」vol.57に収録された連載『RIN-ING!』の「来栖りん×眠る」回をフォトブック『りんとして。』のベストパートとして挙げたいです。駅、電車、歩道橋、公園...街の中、真っ白な布団と枕に包まれるりんちゃんの寝顔を見ることができます。その中でも最も好きなりんちゃんは、巨大なフラミンゴの浮き輪がプールに浮かび、その上で、いろんな姿勢で眠ったり起きたりする場面です。ピンク色の長い部屋着のまま水に浸かっています。さらにその中でも仰向けで目を閉じて、背中や後ろ髪だけが濡れているような状態のカットに感動しました。これは僕の好みの最も中心にあるといっても過言ではなく、たとえば乃木坂46の筒井あやめさんが制服で同じくプールに入っていたりする写真も、もうどうしようもないほど大好きでした。このテキストをここまで読んでいる読者に音楽オタクがどれほどいるかは想像できませんが、転校生『転校生(*1)』のジャケットを思い出していただくのがはやいでしょう。ここでは水でも"海に飛び込む"より"プールに浸かる"が好きで、無機質なタッチだとさらに僕の好みです。その美しさ、素晴らしさの極地が、ジャズのデュオとしては最も知名度が高く究極の名盤とされているBill Evans,Jim Hall『Undercurrent(*2)』のジャケットとしても採用されたことで有名な、アメリカの写真家Toni Frissellが撮影した写真です。元ネタは、19世紀イギリスの画家ジョン・エヴァレット・ミレーの「オフィーリア(*3)」、そしてその名の通り、シェイクスピアハムレット』の登場人物オフィーリアが川で溺れる前のシーンまで辿ることができます。僕たち人間は水を飲んで生きることができています。しかしその命はなぜか水の中で生きることを許してはくれません。なぜでしょう。ここでは鰓呼吸ができないからなどということを言いたいわけではありません。美しい水は恐ろしいからです。夜、学校のプールに忍び込んだ学生たちがその美しさのご機嫌を伺うように水に触れたりしていると、ふいにそのうちの誰かが水の中に押し倒されて飛沫が上がります。僕の存在しない青春の記憶と結びつけることに成功したところで、このフォトブックのレビューがあまりにも我田引水だとは思われないことを願います。りんちゃんが可愛すぎて苦しい。それはまるで水の中で息ができないみたいで...僕は来栖りんになりたいのだと思いました。

*1 転校生/転校生(2012)

*2 Toni Frissell [Weeki Wachee Spring, Florida] (1947)

*3 John Everett Millais「Ophelia」(1851-1852)

 

---写真集感想 おわり---

 

 僕は来栖りんさんを生で見たことはありますが、会ったことも喋ったこともありません。26時のマスカレイドのライブは何度か見ていますが、その時は吉井美優さんとチェキを撮っていたようです。今はTIFで見た最高の「チャプチャパ」から、そのサブスク解禁時の盛り上がりを思い出したりしています。来栖りんさんのメディア露出は写真集だけではなく、YouTubeには週刊誌のグラビアメイキング動画やメイクチャンネルに出演された動画など、ご紹介したいコンテンツがまだまだ存在しています。今回は写真集(フォトブック)にスポットを当てたテキストだったので、それ以外の紹介は割愛します。また気が向いたらまとめてみようかなと思っています。音楽オタクとして彼女のソロ楽曲のことも話したいです。来栖りんさんの写真の可愛さがこの紹介文で誰かに伝わってくれたら嬉しいなと思います。りんちゃん最高の作品をありがとう。... ... この文章を書いているときに2nd写真集の出版が決まったとのおしらせを耳にしました。おめでとうございます。そして、ありがとうございます。