僕は物語から逃げ出して(tipToe.の感想です)

 tipToe.のラストライブを見てから1ヶ月が過ぎ、さらにそこから1週間も過ぎて、さあどうしたものかと思い出を振り返ろうとする。しかしそのためにはまず、今抱えているこの不在に対する感情をどうにかしないといけないらしい。なぜかって、それがどうにもならなくてこんなにも時間は過ぎてしまったのだから。ところでずっとこのままのテンションで文字を書き続けていていいのかなと、ただの個人の感想とはいえ、備忘録とはいえ、語りとはいえ、それはあまりにも投げやりだろう。tipToe.に言ってやりたい捨て台詞はない。

「全部が全部それでいいってワケじゃないけど、開き直ることだよねぇ」と、推しメンだった未波あいりさんから聞いたワケで、じゃあ僕もこの不在の物語から逃げ出してみることにしようかなぁ。なんて、今はそんなことを考えています。
「カッコよくステージから降りて」(ファンクラブのボイスメッセージからごく一部引用)…まあなんてあいりさんらしい、清々しい声だということ。僕は一直線にがむしゃらにでも、逃げ出すことが得意だったらな、それが自分の心に従う行為だったらなと思うこともあった。不在とはもちろんあいりさんがいないことで、僕は自分らしい不在との向き合い方がtipToe.に在ってくれて本当に嬉しい。今はあいりさんの声、いやそれどころか誰のメンバーの声も聞こえないtipToe.の音楽が僕の喪失感に寄り添ってくれています。
 tipToe.の音楽がどれほど素晴らしかったか…今の僕はまずそれをアイドルグループtipToe.の公式サウンドトラックの存在で伝えたかったのです。
 衝撃的な現象はあくまでも物語の中に委ねられていましたね。tipToe.全体のコンセプトを陰で支えるような題名「My Long Prologue」には驚かされました。人生は長いなんて言うけれど、そんなことどうでもよくて、前奏曲も序章も序文も、前置きも前提も、言い訳も、僕にとってはそういう長い説得こそ大切に思えるのです。祈り?お守り?知らない。
 僕はtipToe.の物語の中で逃げ出すことを覚えたのかもしれません。あの物語に『thirdShoes.』と『fifthRuler.』が無ければ僕はtipToe.そのものから、つまりまた青春から離脱せざるを得なくなってしまったことでしょう。どこまでポップに逸脱できるかで奮闘された二つの番外編を書いた主へ、僕はそれらの楽曲がライブで披露される度に、心からの感謝を覚えました。
 大きな風呂敷を広げるのではなく、ピースの形をよく見ていたtipToe.は、似たようなものからでも必ず個性を見つけようとするtipToe.でした。メロディーで、和音で展開で構成で、歌詞の中で、一体どれだけの反復があったことでしょう。僕にはそれが、どこから聴いても確実にtipToe.を届けてみせるための強い意思だと思いました。
 そんなtipToe.の好きな5曲です
 .アフターグロウ
 .最後の朝が来る前に
 .砂糖の夜に
 .静かの海
 .ナイトウォーク
 そりゃあそうでしょう。というか、どう思いますか?みんなはどんな曲が好きなのでしょうか。2期を見ている時は仲間がいたけれど、1期の時なんてそんな関係を拒絶していたし、とはいえ、つまり僕が求めていたアイドル現場の空気感はtipToe.の単独ライブで十分に味わえたんですよ。サイコーだったのは夢日和のアウトロでガチ恋口上を入れていたらインタールードでキャンセルさせるのか!?と半信半疑になりつつも果たして星降るに繋がった瞬間ですかね。今思えばtipであれくらいは序の口でしたが。さっき3足と5則を番外編って言いましたけど音楽以外のサイドストーリーもマジでした。喫茶カスミソウ、感動しました。素晴らしい時間を過ごさせていただきました。ありがとうございました。そして歌詞集。現在のアイドルシーンで歌詞集を出す意味を明確に語れるグループはtipToe.しかいません。あの頃を思い出せば、オサカナもブクガもそうでしょうけれどそれは僕個人の希望であって、tipは1期の最後で、「自分の趣味で」って前置きをしたPが出版したじゃないですか。あのツイートを見た瞬間に購入を決めたことだって鮮明に覚えてます。ツイキャスは深夜すぎたし実はnoteはまだ読んでないのですが、まあ答え合わせはいつでもできますし…というような気持ちでラストライブを見ました。最高でした。なんキニの「僕を未来へ運ぶ列車」がアイドルソングにしては案外長尺であることにみんなあんまり気づいていなかったことに近いといえば近しく、tipの「ペトリコール」の長ったらしさったら至高です。あと「blue moon.」のドビュッシーについてですが、僕はアイドルオタクを乃木坂から始めたもので、察しの良いオタクならわかるでしょうけれども「逃げ水」の記憶を消してみたくなったりして一人でケタケタと笑いました。いやこんな懐かしい話で坂道を転げ落ちるのもほどほどにしたいですし、とにかく、tipに3期がないことは寂しいと思いつつ、今、僕の脳内では雪編のライブでスペクタクルが起こっているので今年の冬が楽しみです。”早すぎる雪”って歌詞めちゃくちゃ好きだ。同じ曲の中で”特別さをここに残したい”って歌詞もあって、そこはあくまでもtip流だし、エトセトラエトセトラ。あ、最後の最後にあいりさんと諭吉佳作/menさんの話ができて楽しすぎました。
 この文章は自分の気持ちの整理のために書き始めたので、ひとまず目的は達成したように思われます。また気が向いたら続きを書こうと思います。


 やっとこんなに清々しくなれたのもあいりさんにはもう6000字くらいの手紙を送ったワケですし、もういいだろうもういいだろうって、(オタクやるの)もういいだろうって思いながら、エアラの単独も良かったし、何か北海道でtipオタが … オタクにはそもそも降りるステージがないんです。ライフステージの話はしないでください。チェキツイートをしろ!