全少女運動 / situasion
タイトル:全少女運動
アーティスト:situasion
リリース:2022.05.26
ポイント:
アルバム『THE YEAR』リリース後一発目のシングル作品。
1.全少女運動
昨年のシングル「I would prefer not to」との連なりを強く感じる表題曲。
メロウで不気味なクリーントーンのアルペジオからヘヴィーに歪ませたフレーズを挟み、徐々にテンポをあげていく展開がアツい。
恐怖と浮遊を同時に感じさせるグロッケンの音色が良い。
近しい音を出す楽器にチェレスタがあり、この感覚はThe Velvet Underground「Sunday Morning」でもはやロックの古典となっているお馴染みの手法。
ラス前にあざとく5拍子を決める手口もアイドルソングらしいお茶目な雰囲気で可愛い。
エレクトロな空間にゆったりと重いサウンドが乗る音像が非常に心地よい年間ベストクラスの名曲。
2.教育にG
1に続きクリーントーンのアルペジオをここでは左右に、センターのベースリフからループを作っていく。アルペジオが抜けシンベが入る固い動きが好き。
ラスト、少しだけハウス感を匂わせつつもそこへ行くことはなく冒頭のフレーズに戻る徹底された絶妙なカップリングテイスト。
このシングルのカップリングとして役割をしっかり果たしている。
シングル作品におけるカップリング楽曲のいわゆるカップリング感を大切にしてシングル作品を評価したく、この曲が持つ空気に私の思うカップリング感と高いクオリティで一致しているという理由からとても素晴らしい作品であると思う。
3.三つの教典
7拍子のギターポップ。
変拍子だがワルツを含むかなりキャッチーな曲で、この曲を表題、または1曲目にしない余裕のある姿勢が印象に残る曲順。
総評:
傑作シングル。
重たいギターサウンドの使い所がとても効果的。
1,2曲目では随所にマイナスの音作りを感じる残音に陶酔という言葉が似合う。
3曲目のサービス精神には、こういうアイドルソングやっとけばいいんでしょ?とある種の乱暴さも感じ、作品トータルの力強さに拍車をかけている。